
この記事の要点
睡眠中に呼吸の停止と酸素の低下をくり返すため、高血圧をはじめ、心臓の病気や脳卒中との関連が報告されています。CPAP療法で血圧が下がる効果は確認されていますが、心臓や脳の病気そのものを防げるかについては、まだ結論が出ていません。日中の強い眠気による、居眠り運転などの事故にも注意が必要です。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は「いびきがうるさい」「日中に眠い」という生活上の問題にとどまりません。睡眠中に体が低酸素状態を繰り返すことで、全身、とくに心臓と血管に大きな負担がかかります。放置するほど、さまざまな病気のリスクが積み重なっていきます。
なぜ全身に悪影響が出るの?
無呼吸のたびに血液中の酸素が下がると、体は「危険だ」と反応して交感神経を活発にし、血圧や心拍を上げます。これが一晩に何十回、重症では数百回と繰り返されることで、心臓・血管・代謝の調節がうまくいかなくなり、生活習慣病やその合併症につながっていきます。
放置すると、どんな病気との関連が指摘されている?
高血圧、不整脈(心房細動)、心不全・狭心症・心筋梗塞、脳卒中、2型糖尿病との関連が報告されています。以下の説明は、このページの末尾に挙げた日本呼吸器学会の診療ガイドライン(2020年)と、日本循環器学会のガイドライン(2023年改訂版)をもとにしています。
高血圧
睡眠時無呼吸症候群は高血圧と深く関わっています。とくに、薬を飲んでも血圧が下がりにくい「治療抵抗性高血圧」の背景に、無呼吸が隠れていることがあります。
不整脈(心房細動)
夜間の低酸素や心臓への負担は、心房細動などの不整脈を起こしやすくします。心房細動は脳梗塞の原因にもなるため、注意が必要です。
心不全・狭心症・心筋梗塞
心臓に繰り返し負担がかかることで、心不全や虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)のリスクが高まります。すでに心臓病で治療中の方では、無呼吸の治療が経過に影響することもあります。
脳卒中(脳梗塞・脳出血)
脳卒中(脳梗塞・脳出血)のリスクが高くなることも報告されています。上で述べた心房細動も、脳梗塞の原因のひとつです。
糖尿病・脂質異常症
睡眠時無呼吸症候群は、2型糖尿病の発症と関連する可能性が指摘されています。脂質異常症との関係は、まだはっきりとはわかっていません。
見過ごせない「日中の眠気」のリスク
合併症だけでなく、日中の強い眠気そのものも大きな危険です。とくに運転中の居眠りは、重大な交通事故につながる恐れがあります。仕事のミスや生産性の低下も含め、生活の質に直結する問題です。
治療でリスクは下げられる?
CPAP療法で血圧が下がる効果は確かめられています。一方、心臓や血管の病気そのものについては、CPAP療法をきちんと続けることで減らせる可能性が報告されていますが、はっきりした結論はまだ出ていません。「いびきくらい」と放置せず、早めに検査・治療を受けることが、将来の健康を守ることにつながります。
高血圧・心臓の病気で通院中の方へ
たちかわファミリークリニックは内科・循環器内科・呼吸器内科を標ぼうしており、睡眠時無呼吸症候群を心臓・血管の病気と切り離さずに診ることを大切にしています。高血圧や心疾患で通院中の方で、いびきや日中の眠気が気になる場合も、あわせてご相談ください。
いびきや日中の眠気など、気になる症状はSASの症状で、なりやすい要因はSASの原因とリスク要因で確認できます。
まずは セルフチェック でリスクを確認し、検査の流れ や 治療法 もご覧ください。全体像は 睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは で解説しています。
監修:
院長 松江修平
【この記事の監修】
松江 修平(まつえ しゅうへい)
たちかわファミリークリニック 院長
杏林大学医学部卒業後、杏林大学医学部附属病院 循環器内科などで診療に従事し、2008年より現職。内科・循環器内科・呼吸器内科を標ぼうする当院で、睡眠時無呼吸症候群の検査からCPAP療法の継続管理まで、力を入れて取り組んでいます。日本内科学会・日本循環器学会 会員、日本医師会認定産業医。
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